2025年度インターンシップレポート第3弾。今回、インターンシップで学生を受け入れていただいた企業は、株式会社キノフィルムズです。
インターンシップ報告書
松本真優
私は2025年4月から6月にかけての20日間、株式会社キノフィルムズの宣伝部にてインターンシップをさせていただいた。大学でシナリオを専攻しており、これまで制作面に特に多く関わってきた。そのため、自分の書きたい主張や観客の評価を真っ先に考えながら執筆活動をしていた自覚がある。しかしながら、映画は物語の質が観客に評価される前に、配給会社がその作品性を判断し買い付けを行う。このことから、シナリオは映画制作から配給までその全てに深く関わると考え、映画の配給・宣伝業務に深く興味を抱き、その実践的な知識と経験を得ることを本インターンシップの目的とした。
インターンシップ期間中、『パディントン 消えた黄金卿の秘密』や『We Live in Time この時を生きて』、『アスファルト・シティ』、『バレリーナ:The World of John Wick』、『ラスト・ブレス』といった作品の宣伝活動を間近で見学した。『パディントン 消えた黄金卿の秘密』ではジャパンプレミアや公開直前イベントに参加し、宣伝が観客に届く現場を直接体験した。また、実際にプレスリリースの作成やパブリシティ業務に携わったほか、大学でのシナリオ専攻を活かし、脚本評価を通じてビジネス観点からの考察を行う機会もいただいた。配給・宣伝の実務は初めての経験ばかりだったが、特に脚本評価の業務においては、これまでの学習経験を応用し自身の専門性を広げる貴重な機会となったと感じている。
プレスリリースでは、作品のあらすじや情報を6行程度で説明することが求められ、特徴的なリリースタイトルやインパクトのある出だしが必要であった。なぜなら長文の作品紹介文は読み手の読む気を削ぎ、そもそも興味を持たせなければサイトを開いてもらうことすらできないからだ。また、サイトに掲載するためには媒体への交渉が必要であり、媒体にとって有益であることを示さなくてはならない。私は『We Live in Time この時を生きて』や『バレリーナ:The World of John Wick』を担当し、3つのプレスリリースを作成した。その際、私の実力不足により媒体から掲載を断られたものもあった。この失敗から、宣伝は売り手から買い手への直線的な作業だと考えていたが、他媒体や他会社からの評価も関係する複雑さがあるのだということに気づいた。脚本評価も同様である。買い付けを行う際、作品の質を判断するだけでなく、公開時期の情勢や監督・役者の知名度、作品の予想興行収入と購入金額が釣り合うかなどの多角的な観点から判断する必要がある。そして買い付けをしたとして、どのような宣伝の切り口で行っていくべきかを考える必要があった。その経験から、宣伝は一面的な考えや発想ではなく、多面的に捉えて言葉を紡ぐ必要があることに気づくことができた。
一方で、観客と直接向き合う宣伝活動も重要な役割を担う。映画公開を控えた時期には、作品への期待感を高め、熱気を直接届けるためのイベントが不可欠である。私はその最前線であるジャパンプレミアや公開前日イベントに参加し、これまでの間接的な宣伝活動がイベント当日の熱気へと繋がる過程を肌で感じることができた。『パディントン 消えた黄金卿の秘密』では、ぬいぐるみや帽子を持った満面の笑みの観客たちを目の当たりにした。舞台挨拶や上映を心待ちにしている観客の姿を最後列から眺め、自身の業務が最終的に観客の喜びへと繋がることを実感した。この経験は、将来的に映画業界に携わることへの強い意欲へと繋がった。各作品のマスコミ試写会では、マスコミ関係者から直接感想を聞く機会があった。一観客として、またマスコミとしての多角的な意見を知る貴重な機会となった。当日の活動がもたらす影響力に加え、それに至るまでの宣伝活動が与える影響の大きさを改めて認識した。
本インターンシップでは、報告書に記したことのほかにも多くの経験をさせていただいた。私一人のために時間を割いて映画業界の仕組みを教えてくださり、複数業務の効率的な進め方や社会人として必要な能力を知る機会を得た。食事や移動時間でたくさんお話をさせていただき、人として成長するきっかけも得られた。キノフィルムズの皆様が優しく迎えてくださり、社会人として、映画業界に進む人間として、そして一人間としての学びを得たインターンシップであった。未熟な私を受け入れてくださったキノフィルムズの皆様には深く感謝を申し上げたい。
キノフィルムズでのインターンシップ中の様子