日本大学芸術学部映画学科

2024年度インターンシップレポート第7弾です。今回、インターンシップで学生を受け入れていただいた企業は、株式会社分福です。

インターンシップ報告書

仕黒京香

私は5月から8月にかけて、株式会社分福でインターンをさせてもらった。インターンでは配給会社に行くことが多い中、私の強い要望で制作会社へと行かせて頂いた。そこでは、プロデューサーさんと一対一で話す機会を毎回頂き、ただのインターンではなく、かけがえのない経験をさせてもらえたと感じている。

まず、将来監督希望であると伝えたため、監督としてどのような力を今のうちに養うべきなのかと言う点についてお話して下さった。その上で、このインターンの進め方を2点提示して頂いた。1つは、分福で作られた映画作品のシナリオを読んで、映像に起こすことを考えて自分の意見書き込んでいくこと。これは、実際に監督が作品の制作を進めていく中で行う工程の一つであるという。監督は当然シナリオが読めなければならない。読めるというのは、頭の中で映像化する力を持っていることでもある。自分だったらこの作品を描くのにどの点をどうしたらより良いか、そう考えることを今のうちにやっておくのはとても良い経験になると提案して下さった。

もう一つは、情報のリサーチである。映画を作る上で事前調査は欠かせない。映画の時代設定がいつなのか、地方なのか都会なのかによって、セットの美術は全く異なるし、セリフの中に出てくる言葉も異なってくる。そして、作品の企画が通るためには、なぜ今この企画で映画を作るべきなのかということを裏付ける根拠も必要である。リサーチというのは、作品を作る一番始めに必要な欠かせない大事なステップだということを伝えられた。結果、私は後者の情報のリサーチ力というのをこのインターンで学ばせてもらいたいと伝え、2つのリサーチ課題を出して頂いた。

一つは、「カンヌ国際映画祭受賞作品の特徴と日本での影響力」についてだ。作品を映画祭に出すことを目的として考えた時に、どの映画祭が自分の作品に合うかという点で、各映画祭について知る必要があるということで、その時期ちょうど開催されていたカンヌ国際映画祭について調べることになった。文献を辿り、初期の受賞作品や開催場所について知り、77回の受賞作品を改めて見て考察する機会を得ることが出来た。

もう一つは、「近年学生が好む映画」についてだ。これは、分福のプロデューサーさんから、私たちが作っている映画をぜひ沢山の若い人にも観てほしいと思うものの、中々難しい。そこで、調査対象は私の周りの学生に限られてしまうが、若者はどんな映画を観るのかということについてまとめた。映画祭で受賞した作品というのが、必ずしも興行収入に結び付かないのはなぜか。この調査では映画を普段あまり観ない人にインタビューすることを重視したことで分かった点があった。多くの学生にとって映画館を利用することのハードルの高さ。映画をテーマパークのような場所として認識していて、友達や恋人と過ごす時の選択肢の一つである場合が多かった。そして、映画の雰囲気を楽しみたい、同じ感情を共有したい、と感情にストレートに訴えかけてくる、内容が予測しやすい作品を好んでいるように見えた。

このようなリサーチをしてみて、自分がぼんやりとしか見えていなかったことを明確に裏付けることに繋がったり、新たな傾向や発見をすることが出来た。もしこれが、自分が作品を作る上でリサーチしていたら、作品に大いに影響を与える結果であったとも思ったので、リサーチすることがいかに大事であるか知る機会になった。

また、今回のインターンを通して実際の撮影現場へ見学に行かせて頂いた。私は撮影現場に行ったことがなかったので、自分のイメージ通りなのかどうかを確かめる貴重な経験になった。リサーチ課題や、現場見学を経て、自分の将来の道に自信を持って進んで行こうと思うことへ繋がったので、このインターンで得たものは何にも変えられない大切な経験となった。

2025/01/10

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