日本大学芸術学部映画学科

2024年度インターンシップレポート第2弾です。今回、インターンシップで学生を受け入れていただいた企業は、松竹音楽出版株式会社です。

インターンシップ報告書

門田あみ

6月から8月頭にかけて松竹音楽出版株式会社のインターンシップに参加した。音楽出版と聞いて出版系の職場を想像していたが、実際は映画のサウンドトラックを扱う部署だった。主な仕事としてサントラの著作権管理のためのデータ入力や契約書の整理などをやらせていただいた。データ入力のなかで今までに観た映画を目にすることもあった。「映画」と「音楽」を今まで結びつけてこなかった私にとって自分の知っている映画と音楽家の関わりを見れたのはとても新鮮な経験だった。また、この時に映画音楽を専門に作る音楽家がいることを初めて知った。社員の方によると普段音楽家として活動されている方が映画のサントラを作ると音楽が映像の邪魔をしてしまうこともあるそうだ。画があることを想定して作る音楽は場面を効果的にしながら、あくまでも背景でなければならないという狭間のなかで作り出される絶妙なバランスのなかで生まれるものだと感じた。この映画音楽の2つの要素を実感する出来事があった。デスク作業のなかでまだ公開されていない映画のサントラの秒数を記録する仕事をさせていただいた。その時に何度かサントラが流れているのを忘れて場面に没入してしまうことがしばしばあった。この時私はサントラの存在によってより魅力的になった場面に夢中になりながらもそのなかで大きな役割を担っているサントラの存在に気がつかずにいた。聞くことを目的としていない映像を生かす存在として改めて映画音楽を意識するきっかけだった。

また、実際に映画のサントラを録音する現場や最終的な音の調整を行う現場も見学させていただいた。録音の現場では映画の映像を流しながら演奏家が別室で場面ごとの曲を演奏していた。作曲家の方がリモートで曲の雰囲気などを指示し、演奏家の方がそれを受けて演奏する形だった。録音中に印象に残ったのが演奏家の方の曲の飲み込みの早さだった。同行させていただいた社員の方によると、やはり楽団に所属する演奏家の方よりもフリーで活動されている方のほうが楽譜を読んで演奏にするまでが早いのだそうだ。映画、特に劇映画は物語であるから登場人物の状況や心情は話が進むにつれて移り変っていく。それに伴ってサントラも同じような曲調が続くのではなく様々な曲が1本の映画のなかで登場する。ひとつの世界観をもった1曲ではなく、異なる雰囲気や世界観を持った様々な曲で映画音楽は構成されている。それに対応する演奏家の方の技術力に驚いた。

https://www.youtube.com/watch?v=l8Hgk3F9TN4&list=PLJ_0fCJ-j80J-tO_J6v9-pEPFn_ccXRZ0

(レコーディングの様子の一例です)

そして最終的な音の調整の現場ではサントラだけでなく人物のセリフなど映画全体の音を調整していく作業を見学させていただいた。監督がその場で指示を出し、音量や曲の強弱、長さなど細かい部分を調整していく作業だった。セリフや音楽だけでなく足音や物音など直す前に違和感を感じなかった場面であっても監督が指示を入れる前と後とではまったく違った印象を受けた。現場は映画館と同じ作りになっていて、劇場で流れている場面が想像しやすかった。録音、調整を通して映画が作り上げられていく現場を見学できたことはとても貴重な経験だったと感じる。

約3ヶ月のインターンシップで報告書に書いたことのほかにも様々な経験をさせていただいた。会社に通うということ、会社で働いている大人の方と話すことも当たり前に見えて普段の学生生活のなかではなかなか経験できないことだったと感じる。映画製作の現場を見させていただいたことも自分のなかで学びになったと思うが、現場の方や会社の方との会話や見学に行かなければ絶対行くことのなかった駅や街を見ることができたのも自分の中で得るものがあった。映画学科だからではなく一学生として学ぶことの多い有意義な経験をさせていただいたと感じている。

インターンシップの様子

2024/09/30

映像表現・理論コースINDEX

年月別アーカイブ

Page Top