日本大学芸術学部映画学科

2024年度インターンシップレポート第3弾です。今回、インターンシップで学生を受け入れていただいた企業は、株式会社つみきです。

インターンシップ報告書

今岡崇

Filmarks(フィルマークス)を運営する(株)つみきのインターンシップでは基本的なビジネス知識、また映画を学問として学んでいる身からすると新しい経験を多くさせていただいた。まず基本的なビジネス知識というのはB2Cなどの一般的なビジネス用語や事業の名称、企業を知るには何を見ればいいかなどであり、私は恥ずかしながら全くもって知らなかったためとても新鮮で勉強になることが多くあった。

インターンシップ初めは、Filmarks(フイルマークス)の取引先企業一覧のスプレッドシートにURLを貼り、映画館、配給会社などのように企業を分類していく作業を行なった。ここで私は多くの企業や事業形態を知ることができ、特に配給会社を多く知ることができた。しかし多くの情報を得ることができたもののそれらを知識として活かすことができるほどではなく、有象無象に企業があるという感触しか得られていなかった。しかしその後、今回のインターンシップでメインとなったカオスマップの作成を行うこととなった。私はカオスマップという言葉も知らなかったため、作成の仕方や重要な点を調べ作成にあたった。作成を開始した頃はレイアウトや軸を決めることができなかったが、徐々に企業の関係や映画業界の構造を学んでいくことで、有象無象だった企業を徐々に体系的にまとめることができ、知識に変わっていった。この知識化を大きく助けたのは上司の後藤さんから貸していただいた映画産業に関する本であり、休憩中や出勤中に熟読していた。また今まで映画を学んでいたが、配給会社や映画館の運営会社などの企業にまで目を向けたことがなかったが、これを機にどこが配給しているのかどこが運営しているのかということを気にするようになった。このように今回のインターンシップでのメインの作業であったカオスマップの作成によって映画業界、そしてそのビジネス構造を学ぶことができたのである。

しかし今回のインターンシップで私が最も良い経験をさせていただいたと感じたのは洋画宣伝に関するものである。まず今回のインターンシップで大きかったのは元々IT企業だった会社で学ばせていただいたということである。もちろん今はFilmarks(フィルマークス)という事業があるため社員の方々の仕事は映画に関連するものではあるものの、やはり社員の方の多くが映画を学問として学んでいた経歴があるわけではなかった。しかしそれにより社員の方々は映画を学んでいる私に比べより映画を商品として見ていたのである。私は今まで映画、特に洋画を学問として学んでいたため、映画史的にいい作品かどうか、新しいかなどの観点でしか映画を見ていなかった。そのため洋画が興行収入などがかなり下火であるというのは分かってはいたものの、かっこいいからいいと、映画史的に良い作品であるから大丈夫、などといった映画好きな考えかでそのような問題を退けていたのである。もちろんそのような考え方は映画文化の成熟のために重要なことではあるが、洋画をどのように盛り上げていけば良いかということを考えることも非常に重要であると考えるようになった。映画史的に価値があるとされる洋画に対する愛だけでは状況は悪化する一方なのであり、そのような愛は仲間内だけであるものであると改めて認識させられたのである。しかしながらインターンシップ中にお世話になった上司の方も衰退する日本の洋画市場、特にミニシアター系で上映される洋画をどのように盛り上げれば良いのかという問題意識を持っており、様々な方法でFilmarks(フィルマークス)としてアプローチしようとしていた。実際Filmarks(フィルマークス)は洋画のTシャツ、アクリルスタンド、などのグッズの作成、またミニシアターをレトロでおしゃれなものというプロモーションをすることでそのような問題を打破しようとしていた。私は一ヶ月間、社員の方々がそれらの仕事に取り組まれているのを見ていたため、そこからいくつかの着想を得て、私も日本のミニシアター系の洋画を盛り上げるために物を軸としたアプローチではなく、映画を観る経験と鑑賞者を軸としたショート動画による映画メディアを作成を思いつき、現在実行のための準備をしている。

最終日の上司の方とのミーティングでは長い時間お話しすることができ非常に良い体験をさせていただいた。特に私が考えていた最近のショート動画コンテンツにおける傾向、また若者の興味関心はどのようなものであり、どのようなメディアが人気であるのかということに関して議論し、良い刺激をいただき、私の考えもより良くすることができた。

今回のインターンシップでの学びを総括すると、映画業界の体系的な知識、映画に対する新しい視座の獲得。また洋画に対する危機感とその対策の考察、また映画に限らずメディアとしてマーケティングなどであった。Filmarks(フィルマークス)の方々は優しく、多くのことを教えていただいたためとても実りのある20日間であったと感じている。

インターンシップの様子

2024/10/03

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