日本大学芸術学部映画学科

2022年度インターンシップレポート第7弾です。今回、インターンシップで学生を受け入れていただいた企業は、セテラ・インターナショナル社です。シナリオ専攻の根岸千尋を受け入れていただきました。

インターンシップ報告書

根岸千尋

私は教授のご紹介で、有限会社セテラ・インターナショナルにて7月から10月にかけて、計20回のインターンシップを経験させていただいた。セテラ・インターナショナルは、フランスの名優ジェラール・フィリップの映画を上映するために、映像輸入会社に勤務していた現社長が設立した配給会社で、これまでヨーロッパ映画を中心にした映画を配給している。ヨーロッパの文化や歴史、映画が好きだったので、それらと日本を繋ぐお手伝いを微力ながらさせていただけることに胸を躍らせた。

私がインターンシップを始めた頃は、『ボイリング・ポイント』(2022年、フィリップ・バランティーニ)の上映開始直前だった。そこでまず初めに私に与えられた仕事は、パンフレットの梱包と発送作業だった。ただ梱包と簡単に言っても、100冊、1000冊という単位の梱包はなかなかに重労働であった。印刷所から届いた大量のパンフレットの冊数の確認、角が折れていたり汚れや傷があったりしないかなどの検品作業を社員一同で行った。それらが終わると、クラフト紙で包み、ダンボールに詰めて、商品が動かないよう隙間に梱包材を敷いて発送する。これも全てパンフレットを手に取るお客様のためである。発送する以外にも、過去に上映された作品のパンフレットが映画館から返送されてくることもある。返送されたら、冊数と売上を照らし合わせて検品作業も行った。次に、本作のチラシとポスターを置いてくれそうな施設をピックアップし、電話交渉する仕事を任された。「イギリス映画」「レストランの物語」「90分のワンショット」という特徴から、イギリス料理を提供するレストランや英会話教室、大学などの候補に、社員の皆さんの助言を借りながら交渉をした。最初は上手くいかなかったが、映画と施設の利用者の相性の良さをアピールし、幾つかの施設に置いていただけた。本作では映画を盛り上げるためにSNSでプレゼントキャンペーンを行っていた。その当選者の発表と商品の発送をさせていただいた。なるべく映画やイギリスが好きな方に商品が届いて欲しいという社員の方々の想いを受け、適当な選別はせず、丁寧に時間をかけて最後までやり遂げた。

暫くすると、ジェラール・フィリップ生誕100年映画祭に向けた仕事が増えた。作品情報の打ち込み資料を作成したのだが、早く仕事をこなさねばと焦り、出来上がった資料には誤字脱字が多く、大変迷惑をかけてしまった。それでも社員の方々は、見直しをして次はミスを無くそうと前向きな指導をしてくださった。当たり前なことが出来ない私を叱るのではなく、伸ばす指導に深く感銘を受けた。映画祭のビジュアルデザインの候補が幾つか上がってくると、社員全員で吟味し、私の意見も聞いてくださった。デザインのオシャレさも重要だが、ターゲット層にあっているか、目を引いて手に取ってもらえるかなども考え、文字の色やサイズにまで拘っているプロ意識に脱帽した。その他には、プレスやポスターの発送、試写会名簿の整理、配給作品が掲載された新聞や雑誌のスキャン、試写会資料と招待券・前売り券の発送、過去に上映された作品のパンフレットの通信販売など仕事の基礎となる庶務を任せていただいた。社員の方々の役に少しでも立てたのなら幸いである。

私は高校生の頃から映像制作をしてきて、今現在も主に脚本について学んでいるが、配給については全くの無知であった。セテラ・インターナショナルでのインターンシップを経て、作品が完成した後に関わる一人一人の力があって映画は観客の元に届けられているのだと、配給の重要さを痛感した。そして日々多くの仕事を抱えてご多忙の中、未熟な私に丁寧に仕事を教えてくださった社員の皆さんの社会人としての姿勢と映画への情熱を知り、感謝と共に、観客としても制作に携わりたい者としても映画に対して真摯でありたいと心から思った。

インターンシップ中の様子

2022/10/18

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