2018年度インターンシップレポート第2弾です。今回、インターンシップで学生を受け入れていただいた企業は、20世紀FOX社です。
2名の学生を受け入れていただきました。
天野くんと加藤さんです。
『インターンシップレポート』
ー20世紀FOX映画・マーケティング部ー
天野翔太
私は20世紀FOX映画という世界的メジャー会社のマーケティング部で、インターンとして働かせていただきました。多くの名作を世に送り出してきた会社に足を踏み入れ、滅多にない機会を手にすることができたという事に始まり、今回のインターンでは、多くのことに恵まれていました。
自分の中では映画業界は外から見えにくい部分が多い業界であると感じていたところがあり、事前の映画会社に関する知識は乏しいものでした。しかし、インターンの期間中、マーケティング部の方々から、各々が映画を宣伝するにあたって、配給する上での担当している業務について、全員の方が資料を用意し、丁寧に講義形式で業務に関して教えくださいました。自分の中で、映画が如何にして公開されるのか不明瞭な点が多くあったものを、明確に捉えることができ、映画配給、宣伝に更なる興味が湧きました。
期間中、講義毎に業務に関する課題も課していただき、学生ならではの意見を考えてほしいというお言葉から、どうしたら若い層を映画館に足を運んでもらえるようになるか、様々な案を提案させていただく中で、自分なりの考えを導く出すことができました。
インターン期間中に映画公開が多く、来日イベントなどを予定しており、映画配給の業務を知るうえで滅多にない絶好の機会だと、マーケティング部の方々も仰っていました。『犬ヶ島』、ウェス・アンダーソン監督来日ジャパンプレミアに始まり、20世紀FOX映画史上歴代トップの記録を樹立した『デッドプール2』主演脚本のライアン・レイノルズ来日レッドカーペット、ジャパンプレミア、メイズ・ランナーシリーズ最終章『メイズ・ランナー最期の迷宮』という、至極のラインナップに関わることができました。
中でも、TVエンタメ情報や記事でしか目にしたことのなかった、プレミアイベントにおいて、受付として実際の現場に立たせて頂き、舞台挨拶を間近で見学させて頂くなどの生の現場を肌で感じ、自分の眼で見ることができ、今も監督、演者が登場したときに湧き上がる観客の歓声、カメラのフラッシュ、緊張と興奮の入り混じる感覚が忘れられません。
『デッドプール2』では、プレミア試写会・レッドカーペットに招待を行う機会を頂きました。レッドカーペット招待において、私はTwitterを用いた一般無作為の方向けに募集を行いました。この試みは、お互い実体の見えないSNS上でのやり取りとなるため、如何にして信用してもらい、どれほど応募していただいた方々に熱意があるのかを見極め、その中から本当に楽しんでもらえる方を選ぶために四苦八苦しました。しかし、この試みは、映画宣伝における一番の基礎となる人をどのようにして集め、注目してもらえるかを試行錯誤し実行する大事な機会であることを教えていただき、大変な部分もありましたが、とてもいい経験になりました。そして、自分が招待した方々に存分に楽しんでいただき、こちらに感謝の気持ちまでお返し頂いた時は、嬉しい気持ちでいっぱいになり、達成感が溢れてきました。
ある会議の様子を拝見させて頂いた際には、データを基にした公開された映画の動向を分析し、全国各地から集まったチームの方々が意見を交わし合い、プランニングの成功点、失敗点を述べる雰囲気には圧倒されました。データを基にすると作品の動向は明確で、映画の公開日選定時には予想もしない、突如現れたブラックホースに影響を受ける部分は、映画マーケットの不安定な要素を目の当たりにしました。作品のキャラクター性による露出の難しさや、テレビ、オンライン媒体の露出度の選択における舵取りは、決められた宣伝費がある中で複雑なものを感じました。しかし、その部分を密な連携のとれたマーケティングの戦略で乗り切るため、今後の作品に向けた連携強化の熱い話し合いをする場の雰囲気に飲み込まれました。
最終日には、インターンで学んだことに関するプレゼンテーションを行いました。学びを踏まえて、自分の考えや、自分で感じる変化を発表させていただき、その際に、社員の方々から貴重なフィードバックを頂き最後の最後まで成長させていただけるとてもいい経験となりました。
今回のインターンでは、大学の授業では味わう事の出来ない現場の雰囲気に揉まれ、日々成長することができ、以前から興味を持っていた映画宣伝への気持ちがより大きくなる大事な機会となりました。就職活動、その後においても、今回の経験を余すところなく生かしていけるよう日々努力していきたいと思います。20世紀FOXマーケティング部の方々に大変お世話になった意義のある2か月半でした。本当にありがとうございました。
『インターンシップの学び』
加藤 紗希
私はインターンシップにあたり、魅力的な洋画を数多く配給しており映画業界の最前線の会社の1つである貴社を希望し、計20日間お仕事の機会を頂きました。
社内では主にマーケティング部門でお世話になりました。映画宣伝では、ある作品の素晴らしさをいかに観客に伝え、劇場まで足を運んでもらい、宣伝費に見合った興行収入を得られるかどうかが重要です。今回のインターン期間は、『デッドプール2』『犬ヶ島』の来日イベント時期と重なっており、大作の宣伝期間から公開までを通した繁忙期に立ち会うこともできました。
そんな中で、普段「映画」を映画史・映画批評などのインプットで「内側の視点」を中心に学ぶのとは逆に、映画作品にどのような魅力を見出しどのように宣伝・発信するのか、という「外側の視点」を学び取りたいという気持ちを胸に、日々勉強させていただきました。
期間中、部門内の各業務の方からそれぞれ業務内容のレクチャーをいただいた上で、実際に課題に取り組ませていただいたことは大きな学びになりました。
まず、「プロダクト」の業務の方から、『デッドプール2』のマーケティングストラテジー、劇場宣伝の難しさ、映画マーケティングの各業務などについて、大変丁寧に教えていただきました。このレクチャーでは映画宣伝の全体像がイメージでき、その後のインターン期間へのモチベーションが益々高まりました。
次に、「メディアプランニング」のレクチャーをしていただきました。宣伝媒体として主流となったSNSをはじめ、テレビ、ラジオ、新聞など、宣伝方法の実情を多くの資料を使って教えていただきました。それぞれのメディアの中で、他企業と露出を奪い合う特性に面白さがありました。
「パブリシティ」のレクチャーでは、宣伝のため役者や芸能人と接する一見華やかな側面と、それらがどれだけ外から宣伝されるのかという、緊張感の二側面を学びました。また、この業務の方からは、『デッドプール2』の来日イベントにあたって学生動員の招待枠を頂き、実際に「1つのイベントに適切な参加者を人数分集め、正しく参加させる」という、まさに「外側の視点」を体験させていただきました。
「タイアップ」のレクチャーでは、私が聞き覚えはあれど内容はよく分かっていなかった「タイアップ」プロモーションについてお話しいただきました。これは、他企業と手を組むことで双方がウィンウィンの関係になりながら費用を抑えた宣伝ができる手法でした。課題として自分でプロモーションを探し出す体験をさせていただいたことで、日常でタイアップ宣伝に目を向けられるようになったことは大きな成長です。
「インシアター」では、劇場内で普段自分が目にする設置物がどのような分類をされるのか学びながら、装飾の発想をする楽しさとそれに伴うリスクなどを教えていただきました。限られた宣伝費の中で自由で且つ宣伝効果のある設置物を考案し、しかし設置物の効果が数値化されるわけではない、という性質が印象的でした。
データ分析による映画ビジネスを、マーケティング本部長の方から直々にレクチャーしていただいたのも大きな学びです。映画ビジネス関係の授業は大学で受けているものの、私はいまだ自分の将来の仕事との関連付けが不十分でした。今回、自分の数字への無頓着さにとても反省させられました。映画業界の市場規模の意外な小ささ、そしてその中で興行を上げ、会社が残っていくためには多くの利益が必要なのです。
勤務終了間近には、業界関係者へのFOXプレゼン、宣伝会議にも参加させていただきました。多くの人間が娯楽としてただ楽しむ映画の裏側には恐ろしく綿密な宣伝計画があり、それぞれの業務の方の確実なお仕事によって、「興行を上げる」という一大目標に向かって行く、大変な苦労を学びました。
他にも普段大学にいるだけでは経験できないことがたくさんありました。多くの試写会に参加させていただき、実地調査を行ったり、VIP招待のお手伝いをさせていただくなど・・・。社内は英語に明るい様子が感じ取れ、数々の映画の宣材物で囲まれていました。ただ「映画が好き」だけではもちろん成り立たないのですが、映画の厳しさと共に、素晴らしさも改めて貴社から学ぶことができました。
今回、私は映画の「外側の視点」を学ぶことを通して、映画業界と自分との関わり方をより具体的に想像することができました。これから私が社会人になるまで時間は多く残されていませんが、ここで培ったことを必ず生かし、自分の目指す企業・職種がビジネスの中でどの位置にいるのか明確に意見を持ち、自信を持って発信できる人間になりたいと思います。
20世紀フォックスの社員の皆様、大変お世話になりました。深く感謝いたします。
◆開催中、および開催間近の映表理関連のイベント等
映像表現・理論コース 教員有志によるTwitterアカウント
映像表現・理論コースのインターンシップレポート(まとめ)
2017年度、2018年度
2016年度
2014年度、2015年度
◆過去の映表理関連イベント等
2019年12月13日〜19日
映画祭「スポーツの光と影」
映表理の卒博ツイッターはこちら↓
映像表現・理論コース 卒博2018
2018年12月8日〜14日
映画祭「朝鮮半島と私たち」
2017年12月9日〜15日
映画祭「映画と天皇」
2017年12月開催
インターリンク:学生映像作品展(ISMIE)2017
2017年3月
2017年「映表理の卒博」のホームページ
2016年12月10日〜12月16日
「宗教映画祭」
2016年3月30日〜4月4日開催
映表理の学生による『映画「基礎」史展』
2016年3月開催
『日藝の卒博』映表理関連行事(まとめ)
2015年12月開催
「ニッポン・マイノリティ映画祭」
2015年10月開催
インターリンク学生映像作品展(ISMIE2015)
ISMIE2015の様子
2014年12月開催
映画祭「ワーカーズ2014」
2014年10月開催
インターリンク学生映像作品展(ISMIE2014)