日本大学芸術学部映画学科

映表理の授業「映画ビジネスⅢ」のインターンシップ報告の第4弾になります。
映画企画・制作・配給などの「マーメイドフィルム」でインターンシップを行った森千尋さんの報告です。

『インターンシップ報告』

森千尋

 今まで数多くの作品を映画館で見て来たが、どのように自分自身の手元まで情報が回ってきているのかを深く考察したことがなかった。大学の講義において、知識だけは念頭にあっても実際に自身で行ってみると壁にぶつかることが多くあった。インターンシップ先である有限会社マーメイドフィルムとヴァレリアにおいて、映画宣伝の知らなかった知識を教えて頂くだけでなく、自分の体に染み込ませるような体験をさせて頂いた。その仕事内容と共に、そこから自身で学んだことを次に述べていきたい。
 インターンシップ先において、主にやらせて頂いた仕事は、映画チラシとポスターを関係者や宣伝先に配送することと配布することである。配送作業は、宣伝する作品の情報や試写会などの情報を記載したものと映画チラシを一緒に同封するものであった。配送する量は膨大であり、配送先は映画関係者をはじめとするマスコミ関係者、新聞関係者、雑誌関係者、ラジオ関係者、著名人などであった。この作業を行う理由をヴァレリアの方が、映画関係者や著名人に映画の情報を送ることによって、その映画作品を知ってもらい、影響力のある人々によって作品を宣伝してもらえる可能性が高まると仰っていた。映画宣伝は、観客に直接するのではなく、影響力のある人やメディアにすることから始まることを改めて実感した。一方で配布作業というのは、私達に大いに身近なところで行った。私がインターンシップ期間中に宣伝に携わった作品は、『EUフィルムデーズ2016』と『AMYエイミー』であるが、作業は同様でも宣伝先というものが全く異なっていた。『EUフィルムデーズ2016』はEUに加盟していて、かつ日本に大使館をおいている国の作品を集めた映画祭である。この時の配布先としては、オシャレなカフェやレストランやバーなどであった。また、映画や映像を専門とした大学やヨーロッパ研究などを積極的に行っている大学を調査し、映画チラシやポスターなどを発送する作業もやらせて頂いた。しかし、この次に関わらせて頂いた『AMYエイミー』はこの配布先とは全く異なったところで行った。『AMYエイミー』はエイミー・ワインハウスという歌手を描いたドキュメンタリー映画であり、主に、ライブハウスやスタジオ、美容院などが配布先として挙げられた。このように、作品によって客層を考え、それに合わせた宣伝を行うということを学んだ。また、この宣伝先をヴァレリアの方は私自身に考えさせてくれ、自分の足で宣伝するという自覚を植え付けてくださった。『AMYエイミー』は公開当日を迎えることなくインターンシップが終了してしまったが、『EUフィルムデーズ2016』は当日、自分の目で客数を感じることができた。この映画祭は、東京国立近代美術館フィルムセンターにおいての公開であり、オープニング作品はほぼ満席であった。この時、私が宣伝したことによって来場してくださった方がいると思うと喜びが込み上げてきた。これは実際に自分の足で宣伝したことによってしか味わうことが出来ない感情であった。
 このように実際に自分の足で宣伝し、その成果を感じることができたことがこのインターンシップでさせて頂いた最大の経験であった。インターンシップ先の方は、この宣伝作業を経験している人としていない人では全然違うと仰っていた。客層を意識しながら調査し、実際にその場所に行って宣伝することの大切さを学んだ。作品の内容や魅力を上手く伝えることが出来ずに壁にぶちあったってしまった時もあったが、その際に自分自身で宣伝の方法を試行錯誤しながら、最終的には最適な方法で宣伝出来るようになったことは一生の経験である。

「マーメイドフイルム」でもインターンシップの様子

「マーメイドフイルム」でもインターンシップの様子

「マーメイドフィルム」でのインターンシップの様子。

「マーメイドフィルム」でのインターンシップの様子。

名称未設定

「マーメイドフィルム」でのインターンシップの様子。

2016/08/20

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