日本大学芸術学部映画学科

 先日、A班のシナリオを掲載しましたが、映像表現・理論コースの2年生の映像専攻とシナリオ専攻が共同してショートムービーを完成させる第1課題のB班のシナリオです。

 今、学生たちは、これらのシナリオを元に、コンテの作成をしています。

画コンテ

(このHPの関係で、行替えなど多少読みにく部分があるかもしれませんが、ご了承ください)

平成二十七年度 映画学科 映像表現・理論コース
シナリオ専攻・映像専攻 第一課題作品制作実習台本

B班 『リア充帝国「ニチゲイ」』

登場人物
純:大学2年。日芸に転校してくる。『リア充絶対主義』変えようと奮闘する。
裕紀:純の数少ない友達。始終純に振り回される
側近:キングに仕える側近。格式張った話し 方をする。でかい。怖い。だみ声。
キング:日芸の学生会長。日芸では神のような存在であり、教員もキングの権力には劣る。髪の毛にこだわりがある。
リア充男A:純を取り押さえる人
リア充男B:純を取り押さえる人
非リア充男:リア充男ABに連れてこられる。
リア充男C:純のコーラを奪い裕紀にかける。
リア充女A:リア充男Cの彼女。
先生:リア充の素行の悪さは常に見て見ぬふり。
リア充女B:非リア充女の髪の毛を切断する。
リア充男D:リア充女Bの彼氏。
非リア充女:リア充女Bに髪の毛を切られる。

1 朝・校門
  チェックシャツをジーンズに入れ、黒ぶち眼鏡をかけ、バンダナで前髪を上げ、のしのしと狭い校門を通過する純。
  カメラの方をバッと見る純。カメラを指差し近づきながらしゃべり、最後にはカメラ  
  とほぼ0距離になる。
純「おい!お前今俺の事、きもいオタクのキモ太郎だと思っただろ!違う!断じて違うぞ!ともかく!俺は好きでこんな格好してない!!まずは俺の話を聞け!」
  少し落ち着き、ため息をつく純。
純「あれは、俺が1週間前転校してきた日だ・・・」

2 回想・朝・校門
  私服で正門から入ろうとする純。
  校門にはキング様を崇めよと書かれたたれ幕がかかっている。純が学校の敷地内に入ろうとした瞬間、暗転してタイトルと共に『ビービー』と音が鳴る。
  驚く純。キングの側近とスーツを着たリア充男ABが純を無理矢理取り抑える。
純「な・・・なんだよ!」
側近「貴様!!リア充ではないな!!」
  純を見下し腕を組み仁王立ちする側近。
純「は??何言ってんだよお前ら!」
側近「ん?貴様転校生だな?」
純「そ・・・そうですけど?」
  金属探知機のようなものを取り出し、純の足から段々上に調べていく側近。股間で強い音がする。
純「!!・・・なんだよ・・・!」
  純の股間を指差す側近。
側近「貴様さては童貞だな」
純「わ・・・悪いか!」
  そのまま探知機を純の顔に持っていくとまた強い反応。
側近「顔に問題あり!故に貴様を非リア充とする!」
  むりやり身ぐるみをはがされシーン1の服にさせられる純。
純「うわ!!なんだこの格好!」
側近「転校生!無知な貴様に教えてやろう!我らが日芸が誇る!『リア充絶対主義制度』を!!」
  純を取り押さえていた二人が純を離し、非リア充男の模範として裕紀を無理矢理連れてくる。シーン1で純のしていた格好(眼鏡を除く)をしている非リア充である。その前に側近が立つ。
側近「まず!!この学校の生徒はリア充と非リア充に分類されるのだ!!」
  連れてきた裕紀を指差す側近
側近「これが非リア充の正装である!!」
  顔をしかめる純。
  裕紀、突き飛ばされる。側近手を後ろで組み、ゆっくりと話しながら横に歩く。
側近「そして!格好だけではない!」
  それぞれの台詞と共に食事、トイレ、校門を映す。食事はリア充と非リア充の料理を並べる。
  リア充は豪華料理で非リア充はぐちゃぐちゃの見た目最悪料理。
  トイレはリア充は豪華で綺麗なトイレ。
  非リア充は草むらに『ここ↓』と書いてある看板が刺さっており、あひるのおまるがおいてある。
  校門もリア充のは綺麗。
  非リア充のは薄汚れている。
側近「食堂、トイレその他あらゆる校内機関がリア充優遇となるのだ!もちろん校門もリア充用と非リア充用に分けられている!貴様の様な非リア充が通って良い門ではないのだ!」
純「はあ!?なんだよそ・・・」
  純の言葉を遮る側近。
側近「だまれ!!!ココからが最重要事項である!」
  リア充男AB二人がキングの肖像画を上に掲げる。キングの肖像画はナポレオンの顔をキングの顔に変えたもの。それを崇めるようなポーズの側近。
側近「我らが絶対君主!キング様である!」
  啞然の純。キングの肖像画が映る。

3 朝・アートセンター内販売機前
  壁に飾られているキングの肖像画。前を歩く裕紀に向かっていく純。
純「よ。裕紀」
  ビクっとなる裕紀
裕紀「なんだ純かよ・・・」
  純は自動販売機からコーラを取り出す。コーラのふたを開ける純。その後ろからリア充男Cとリア充女Aがいちゃつきながら純と裕紀に近づく。
リア充男C「お。ちょうど喉かわいてたんだよねー」
  純が飲もうとした瞬間、リア充男Cがコーラに手を伸ばしとろうとする。
  驚くが、離そうとしない純。
リア充男C「はあ?」
リア充女A「何こいつ・・・」
裕紀「おい!何してんだ!早くわたせ!(小声)」
  リア充男Cを睨みながら手を離す純。チャイムがなる。リア充男C、舌打ちをしてコーラを一口飲む。
  そしてそれを裕紀にむけてかける。濡れる裕紀。
リア充男C「おい授業だ。いこうぜ」
リア充女A「うん」
  そそくさとその場を去るリア充カップル。怒った様子でリア充カップルの背中を追いかける純。
  それをあわてて止める裕紀。
純「なんで止めんだよ!」
裕紀「明日リア充診断テストだし・・・だからリア充に目付けられたくないんだよ・・・」

4 昼・中央通り
  ホラ貝の音が鳴り響く。
裕紀「あ!やべ!頭下げろ!」
  裕紀は急いでキングに向かって土下座。
純 「え」
  非リア充は土下座。リア充はキングの方を向き、挨拶する。そこをキングが歩いてくる。顔の化粧と服装はバカ殿。
  頭頂部はちょんまげで、横の髪だけ頭に垂直に真っすぐ両サイド伸びていて、扇子をひらつかせている。
  その斜め後ろには側近が歩いている。
リア充全員「おはようございます。キング様」
キング「にょほほほほ。くるしゅうない」
  周りの非リア充と共に土下座する裕紀。
  しないで立っている純。
裕紀「おい!何やってんだ馬鹿!(小声)」
純  「いや、アイツの格好の方が馬鹿だろ(笑)え?あれがキングなの?(笑)」
裕紀「そうだよ!いいから土下座しろ!」
純 「よし」
裕紀「あ・・・おい!!」
  純を止めようとするも、間に合わない裕紀。その様子を見る側近。
側近「おいそこの非リア充!土下座しないか!」
  無視してキングに近寄る純。キング、振りかえる。キングの横に伸びた髪を華麗によける側近。
側近「あ!おい!」
純 「その髪の毛どうやってセットしてるんですか?」
  純はキングを指差す。
  側近と金髪二人が苦虫をかみつぶしたような顔をする。
キング「ん?さては御主、世のヘアースタイルについてききたいのじゃな?」
純「は?」
キング「良かろう!まずにょっぷりとこの特性ワックスを使ってだな」
  髪を愛おしく触りながら髪について語るキング。その様子を見ている側近は持っているスケジュール帳とその様子をチラチラと交互にみて焦る。
側近「まずい、髪の話になると二時間は終わらないぞ・・・」
側近「キ・・・キング様!コンビニで待ちわびていらっしゃったミックスソフトクリームが販売開始したようです!」
キング「にょほほ!?それは誠か!」
  コンビニの方に振り向くキング。横に伸びた髪の毛が若干純にあたる。驚く純。
  ちょっと恥ずかしそうに純の方に振り向くキング。
キング「にょっほん。あー。なんだ。御主の
  目利き気に入った。リア充にあがる事を特別に許そうではにゃいか」
  ざわつく辺りの生徒達。
純 「あ、どうも。じゃなくて!!俺はリア充 になんかなりたくない!俺が言いたいのは——」
  側近に突き飛ばされる純。
側近「貴様口を慎め!キングの御前であるぞ!」
 キングがコンビニの方に向かう。

5 教室
  チャイムが鳴る。授業中の教室。
先生「え〜サイレント映画というのはーー」
  純達の斜め前辺りの席のリア充女Bとリア充男Dが大きめの声で話している。
リア充女B「最近枝毛すごくてさー」
  髪の先をいじりながらしゃべるリア充女B。
リア充男D「へー大変だな女子は」
  非リア充女が飲料をもってリア充女Bの前の机に置く。リア充女Bは無視して会話を続ける。
  非リア充女は会釈しながら立ち去ろうとするが、非リア充女のサラサラの髪がリア充女の目に入る。
リア充女B「ねえ」
  おどおど振り返る非リア充女。リア充女B、非リア充女の後ろ髪を掴む。
リア充女B「きってあげるね(笑顔)」
  ジョキジョキと非リア充女の髪を勢い良く切るリア充女A。
  非リア充女が悲鳴を上げる。
  それを見た純が席を立とうとする。裕紀が腕を掴む。
裕紀「お前いい加減にしろよ」
  純が無言でしぶしぶ座る。
リア充女A「はい終わり(笑顔)」
  泣きながら教室のドアの方へ向かう非リア充女。
  しかしドア付近で転ぶ。
  それを見て大爆笑のリア充女Bとリア充男D。  
  一瞬純と転んでいる非リア充女の目が合う。非リア充女が教室を去る。
  立ち上がる純。
純 「革命を起こそう」
裕紀「は?」
先生「そこ!!うるさい!」
  すごい形相で怒鳴る先生。びくっとなる裕紀。立ち上がって先生に謝罪。
裕紀「す、すいません!」
純 「・・・革命を起こしてやる(小声)」
  少し驚いた様子の裕紀。
 
 
6 翌日朝・キングの部屋
  キングは非リア充を数人集めて作った人間イスに座り、女を膝に座らせ、シーン5のソフトクリームを食べさせてもらっている。
  両サイドで女にあおがれているキング。  
  裕紀がその正面に立ち、側近に探知機で検査されている。  
  探知機に反応がある。
キング「貴様は非リア充じゃ。次の試験までに己を磨いて出直すが良い」
裕紀「・・・はい」
ドアの外からの声「何だお前は!」
  がたがたという音とともに勢いよく部屋のドアが開く。純は背中にあらゆる武器(ガトリングや日本刀とか)を持ち、剣道の胴鎧をつけ、バンダナにろうそくをさして、フライパンとお玉を持っている。
裕紀「純!?」
側近「貴様!」
純 「非リア充で何が悪いんだ——!きええ ええええ!(奇声)」
   キングに襲いかかろうとする純を側近とリア充二人が抑える。
側近「貴様!いい加減にしろ!」
   純は取り押さえられながらボールをキングに向け投げる。キングの顔でボールが破裂。
   ケチャップボールがキングの顔を直撃。
そこにいる人々、啞然。
側近「・・・キング様・・・」
   静まるキングの部屋。
キング「きえええええええええええ!!貴様!世の魂とも言える髪をおおお!!アジエンスとつばきとラックスとパンテーンを長年かけてあみだした黄金比による——」
  キング、持っていた扇子を折る。キングの話を遮るように純が言う。
純 「余裕かましやがって・・・ざまあみろ!これがのろしだ・・俺の革命の!!」

7 夕方・校門
  校門を境にした校舎側にリア充軍団がいる、キングは騎馬戦のように抱えあげられている。
髪の毛は汚れが落ち、元通りにセットされているが、ケチャップがついた部分を執拗にスプレーとくしでいじっている。
服にはケチャップのシミが所々に付着している。
その向かい側に純と非リア充たち登場。
キング、尋常じゃない形相で睨む。
純、バンダナをなげすて、リア充軍団のほうに走っていく。
純「うおおおおおおお!!!!」
  リア充軍団に一人立ち向かう純。ちょうど境でこける。
手の先が境をまたぐ。
暗転。
  ビービーとサイレンがなる。
シーン2でなったサイレンの音。

 今、A班、B班ともシナリオを元に、コンテを作成中です。

2015/05/14

映像表現・理論コースINDEX

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