映表理の授業〈映画ビジネスⅢ〉では、春から受講生がインターンシップを行っています。インターンシップが終了した学生からレポートが提出されました。
2022年度の第1弾となります。
インターンシップで学生を受け入れていただいた会社は、「株式会社パンドラ」です。
また、インターンシップに行った学生は理論・批評専攻の炭本理智さんです。
インターンシップ報告書
炭本理智
私は株式会社パンドラで6月〜8月までの20日間、インターンシップに参加した。パンドラは映画の配給、宣伝業務の他、自主上映の受付や学校に売る映像補助教材の発売と販売なども行っている会社だ。主に外国映画の配給をしており、海外の映画の配給の仕組みや宣伝の仕方などを学びたくて志望した。
私がインターンシップをさせていただいた期間は『映画はアリスから始まった』の公開時期であった。そのため、劇場で行ったトークイベントのゲストのトークを起こした。このトーク起こしは、後に『映画はアリスから始まった』のホームページにトークレポートとして載るものだ。話していることを文字に起こすのは容易いことではなく、最初は1人20分ほどのトークを起こすのに1日かかった。だが、だんだん行っていくうちに大事な部分だけを聞き取れば良い、例えば「えっと」や「うーん」のような言葉は最初から聞き取らなければ良いと気づき、6人目をやる頃には2時間ほどで起こせるようになった。
7月半ばからは、9月3日に公開する『オルガの翼』の宣伝業務を行った。さまざまなお店や団体に電話をして映画のチラシを置かせてもらう、電話掛けという業務をした。『オルガの翼』はウクライナ関連の話であるため、ウクライナ料理の店やウクライナを支援している団体などをネットで調べて電話を掛けた。それまでは人見知りのため電話を掛けるということに苦手意識があった。だが、電話を掛けていくうちに、どう抑揚をつけたら感情がこもって相手に置かせてもらえるのかなどを考えるようになった。ただカンペを見て話すのではなく、少しアドリブを足したり、お礼をいう際は実際に礼をしたりなどをするようになった。半日で10数件電話を掛けて、その内置かせてもらえたのは半分ほどだったが、少しでも映画の宣伝ができたのかと思った。
新作の宣伝だけではなく、週報の整理も行った。どれだけ人が入ったのか、売上はどのくらいかなどが書いてある紙が、劇場から一週間ごとに送られてくる。それを作品ごとにまとめて見出しをつける業務をした。パンドラが取引している映画館はミニシアターがほとんどであるが、全国から送られてくるため数は多い。地方の映画館は、一日一桁しかお客さんが入っていない回があった。一方、アップリンク吉祥寺やユーロスペースなどの都内の映画館では地方の何倍ものお客さんが入っていた。地方の映画館への売り込みなどは他の会社に委託しているそうだ。地方で映画を宣伝するのは難しいが、それでもさまざまな土地で映画を上映することで映画を大勢の人に見てもらう機会が増えると感じた。
その他に、映画館に貼らせてもらうパブボードも作った。映画が掲載されている雑誌や新聞などを切り抜いて模造紙に貼る。どうしたら目に留まりやすいか、どこに置いたら見やすいかなど、主観的に見てはいけないと学んだ。
映画に関わる業務以外に、小学校や中学校などに売り込む教材のFAX送信を行った。小学校は小学校の原稿を送らなければならず、さらに3000校を超える学校に一斉にFAXを送信するため、ミスは許されない。私は大雑把な性格なので、いつも以上に慎重になることが求められた。この業務で仕事に向き合う姿勢、仕事は常に手を抜いてはいけないということを学んだ。
パンドラは、映画の配給、宣伝、そして公開が終わった後の請求書などの業務まで全て3人で行っている。『映画はアリスから始まった』の公開が始まったと思えば、休む暇もなく『オルガの翼』の宣伝業務などに入る。そうした多くの業務に関わらせていただいて、地道に電話を掛けて宣伝するなど小さいことが集客につながる。それは、チラシのデザインを社員の方々と一緒に選んだ際にも感じた。どこにタイトルがあれば手に取ってもらいやすいか、どの色合いなら読みやすいかなど、客観的に考えることが大切であり、そうした細かいことも映画を見てもらうために必要である。ただの観客であったら考えもしなかったことを学べた20日間だった。パンドラの皆様、貴重な経験をありがとうございました。「
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