前回、B班の撮影風景とシナリオを掲載しましたが、今回はA班を載せます。
両班とも昨日、撮影が終了しました。
暑い中、学生たちはヘトヘトになりながら頑張っていました。
「友情ポイント」
登場人物
・野々宮 渡(20)
友情ポイントを集めるため、周りの人間に愛想をよくする。
少し考えすぎるところがあり、表にはださないが、感情の起伏が激しい。
・岩崎 誠(20)
渡の親友。だが実は渡は彼のことをよく思っていない。
一見人がよさそうだが・・・
・委員A
・ 委員B
・ 学生A
・荷物を抱えた女性
・その他
1 教室棟、事務棟の間の通路
通路を歩く渡。
すれ違う人たちに次々と笑顔で挨拶をする。
渡のスマホには友情ポイントが表示されている(友情カウンター)。テロップ。
表示された桁が「8500」から「8505」、「8510」と挨拶するたびに増えていく。
渡M「俺は挨拶がキライだ」
すれ違った人と肩がぶつかり、相手のノートが廊下に落ちる。
渡、拾い上げ、笑顔で相手にノートを渡す。
友情カウンターのテロップ、「8520」に増える。
渡M「俺は親切がキライだ」
突然、渡の肩を誰かが叩く。
渡、振り返る。
誠 「よぅ」
渡 「おぉ、まこっちゃん」
渡M「俺はコイツがキライだ」
誠 「じゃ、あとでな」
渡、手を挙げ答える。
カウンター「8530」に増える。
まっすぐ前を向き、また歩みだす渡。
渡M「俺がこんなことを続けている理由は、ただひとつ」
2 タイトル
『友情ポイント』
3 教室棟ロビー
昼休み、席に座っている渡、スマホをみて溜息。
友情カウンターのテロップ、「8530」と書かれている。
渡 「あと、少し」
誠 「よっ、暇してる?」
突然現れた誠に驚く渡。
渡 「よ、よう」
渡の隣に座る誠。
渡 「次の友情ポイントの有効期限っていつだっけ?」
誠 「あしたじゃなかった?渡、だいぶポイント貯まってるだろ」
動揺する渡。
渡 「そ、そんなことないよ」
誠 「そうか?」
渡 「じゃ、急いでるから、ごめん」
渡M「やっぱコイツといると調子が狂う」
そそくさと立ち上がり、ロビーをあとにする渡。
それを無言で見つめる誠。
4 テレビスタジオ棟前
「みんな友達(ファミリー)」と書かれた旗を振る友情ポイント委員A。
机が出され、「友情ポイント委員」と書かれた腕章をつけた委員Bが座っている。
その横には「友情ポイント交換所」の看板がたっており、数人が並んでいる。
委員A「『友情ポイント制度』は、みなさん大学生がより良い人間関係、友情を育むために発足しました。この制度で、『みんなが友達(ファミリー)』になることを目指しましょう」
渡M「相変わらず気色悪いスローガンだな、賛同する奴なんているかよ」
渡、立ち止まり、机の上の札を見つめる。
そこには「5000pt 食堂食券半年分」「8000pt ノートパソコン」などが書いてある。
委員B「はい、期限はあとすこしですよ!」
渡、一際目立つ「10000pt」の札を凝視する。
そこには「1年間学費免除 先着2名!」の文字が。
渡 「―(舌打ち)」
5 教室棟ロビー
ロビーの椅子に腰かけ、辺りを観察する渡。
渡M「誰か、誰か―」
すると目の前に荷物を大量に抱えた女性が現れる。
ふらふらとした足取りで歩いていく。
渡M「おぉ、大チャンス!」
女性を凝視する渡。
渡M「転べ、転べ―!」
渡、祈るように念じている。
女性、祈りに呼応したかのようにバランスを崩し、倒れる。
それと共に床に荷物が散らばる。
渡M「きたぁ!」
渡、勢いよく立ち上がり助けようとする。
だが、他人に先を越されてしまう。
次々と集まる人々、女性の荷物を拾っていく。
渡M「おいおいまてまて!」
渡、どうしていいか分からず、ステップを踏むようなおかしな動きをしてしまう。
そのうち、女性を助けた学生Aのポイントが、一万に到達する。
学生Aのスマホから一万到達のファンファーレが流れる。
喜び立ち去る学生A。
渡M「―ヤバいぞ、このままじゃ、学費免除が!」
誠 「だいぶ焦ってるな」
渡 「えっ!?」
突然現れた誠に驚く渡。
平静を装う。
渡 「あ、あぁ、あの子?焦ってたねー。課題締切近いのかな」
誠 「お前だよ」
渡 「なっ、なんでだよ」
すると、ニッと笑う誠。
誠 「隠すことないだろう。ポイント、足りないんだろ。いくらだ?」
渡、戸惑うがボソッとつぶやく。
渡 「―1500」
誠、軽く頷き、渡の肩に手をのせる。
誠 「よし、俺のポイント、やるよ」
6 教室
渡と誠の二人以外、誰もいない。
二人は一つの机を挟み、向かい合って座っている。
誠 「―なるほど、学費免除してもらえないと、大学にもう通えないのか」
誠の顔を見つめる渡。
渡M「何企んでる、コイツ」
誠 「そんなにみつめんなよ、気色悪い」
苦笑する誠。
渡 「でも、ホントにいいのか?」
誠 「あぁ。そんな一大事、見逃せねぇよ」
ふぅーっと息を吐く渡。
渡M「信用していいのか?とりあえず―」
渡 「―ありがとう」
誠 「きにすんな。俺たち、親友だろ?」
渡 「あぁ、そだな」
はははっと笑いあうふたり。
渡 「じゃ、貰うぞ?いいな」
誠 「おう」
渡、恐る恐る誠のスマホと通信する。
カウンターテロップ。
ポイントが渡のカウンターに移動する。
渡のカウンター「8530」から「10030」に増え、誠のカウンター「6500」から「5000」に減少する。
誠 「ふぅ。これで一安心。なんか喉渇いたわ。」
席から立つ誠。
誠 「飲み物買ってくる」
渡 「おう」
教室をでる誠。
を見つめ、茫然とする渡。
渡M「―なんともない、大丈夫なのか?」
すると、渡の後ろの扉がすぅっと開く。
そこから勢いよく誠が現れ、バットで渡に殴りかかる。
寸でのところでかわす渡。
誠 「チッ、油断していると思ったんだけど、ホント、疑り深いやつ」
さらに襲いかかる誠。
渡、攻撃をかわし、反撃のタックル。
倒れた誠の上にのしかかる。
激しくにらみ合う二人。
渡 「やっぱり、俺のポイント目当てだったのか!」
誠 「決まってんだろ。じゃなきゃ、お前なんかとつるむか。きっと他のみんなもそうさ。まぁ、お互い様だろ?」
笑う渡。
渡 「そうだな、じゃぁ、遠慮なく!」
一発誠を殴る渡。
フェードアウト、ポイント強奪の音が鳴り響く。
7 テレビスタジオ棟前
スマホをみて、笑う渡。
渡 「これで、遂に!」
交換所へ向かう。
渡、交換所に到着、10000ptの札を指さす。
渡 「学費免除を」
委員B「野々宮渡さん、ですね」
渡 「はい」
委員B「―ポイント強奪のため、すべて無効とさせていただきます」
驚く渡。
渡 「ど、どうして!?」
後ろの陰で誠が渡を見つめている。
誠 「ひっかかった」
不気味に笑う誠。
8 教室(誠の回想)
渡にポイントを盗られたあと、誰もいなくなった教室で、横たわりながら携帯を取り出す誠。
誠 「―もしもし、ポイント委員さん?」
9 再びテレビスタジオ棟前
誠M「自己犠牲という最高の親切をした結果、俺は一万ポイントまで到達した。だが、俺の本当の目的は―」
誠、委員のスローガンをしばらく眺め、立ち去る。
誠 「アイツを、消すこと」
渡のカウンターテロップ。
渡 「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
数字が見る見るうちに減っていき―「0」。
[終]
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